テント泊や、寝具のない山小屋・避難小屋で眠るときは、寝袋(シュラフ)とマットを組み合わせて寒さを防ぎます。寝袋は体のまわりの空気を温め、マットは地面からの冷えを防ぎます。どちらかが足りないと、もう一方がよくても寒く感じます。このページでは、選ぶときに確かめたい点を順に説明します。
まず押さえたい3つのポイント
- 寝袋は「温度表示」で選ぶ。行く山の夜の気温と、寝袋に書かれた温度を見比べます。
- 中綿は「ダウン」か「化繊」か。軽さと収納の小ささを取るか、濡れへの強さと手入れのしやすさを取るかで選びます。
- マットは「R値」で選ぶ。R値は、地面からの冷えをどれだけ防ぐかを表す数値です。寒い季節ほど大きい値が必要です。
寝袋の温度表示の読み方
寝袋の温度表示には、国際規格の ISO 23537-1 にもとづく表示があります。この規格では、温度を測る人形(熱マネキン)を使って寝袋の保温力を測り、次の3つの温度で表します。
| 表示 | 意味 |
|---|---|
| 快適温度(コンフォート) | 標準的な女性が、リラックスした姿勢で快適に眠れる温度 |
| 下限温度(リミット) | 標準的な男性が、体を丸めた姿勢で8時間眠れる温度 |
| 極限温度(エクストリーム) | 標準的な女性が、命を守るために耐えられる限界の温度。下限温度との間では強い寒さを感じ、低体温症の危険がある |

- 寝袋を選ぶときは、快適温度を目安にします。極限温度は「眠れる温度」ではなく、命に関わる限界の温度です。
- 同じ人でも、疲れや空腹、服装で寒さの感じ方は変わります。行く山の夜の最低気温より、快適温度が低いものを選ぶと余裕ができます。
- 山の気温は、標高が上がるほど下がります。山頂付近の気温の目安は、山頂の気温・体感温度ツールで計算できます。
- ISO の規格によらない、メーカー独自の温度表示もあります。比べるときは、同じ基準の表示どうしで見比べます。
中綿の違い:ダウンと化繊
| ダウン(羽毛) | 化繊(化学繊維) | |
|---|---|---|
| 軽さ・収納の小ささ | 同じ暖かさなら軽く、小さくたためるものが多い | ダウンより重く、かさばるものが多い |
| 濡れ | 濡れると保温力が大きく下がる | 濡れても保温力が下がりにくい |
| 手入れ・価格 | 保管や洗濯に気を使う。高価なものが多い | 扱いやすく、手頃な価格のものが多い |
荷物を軽くしたい山行ではダウン、結露や雨で濡れやすい季節や、手入れの手間を減らしたいときは化繊、というように使い分けます。ダウンの寝袋は、防水のスタッフバッグや袋に入れて持ち運ぶと、濡れを防げます。
形の違い:マミー型と封筒型
- マミー型は、頭から足先まで体に沿う形です。すき間が少ないため暖かさを保ちやすく、軽く小さくたためるものが多く、登山向きです。
- 封筒型は、長方形でゆったりした形です。寝返りを打ちやすい反面、かさばりやすく、主にキャンプ向きです。
マットの種類とR値
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| クローズドセル(発泡) | 発泡素材のマット。穴が開いても使え、すぐに広げられる。かさばるため、ザックの外に付けることが多い |
| エアー | 空気を入れてふくらませる。たたむと小さく、厚みがある。穴が開くと使えなくなるため、修理キットがあると安心 |
| インフレーター | 中に発泡素材が入っていて、バルブを開けると自然に空気が入る。厚みと扱いやすさのバランスがよいが、エアーより重いものが多い |
R値は、マットが地面からの冷えをどれだけ防ぐか(断熱力)を表す数値で、大きいほど冷えにくくなります。ASTM International(米国試験材料協会)が定めた測定方法(ASTM F3340-18)があり、多くのメーカーがこの方法で測ったR値を表示しています。違うブランドのマットどうしでも、同じ方法で測った値なら比べやすくなります。季節ごとの目安は、次のとおりです。
| R値 | 季節の目安 |
|---|---|
| 1.0〜2.0 | 夏 |
| 2.0〜4.0 | 春〜秋 |
| 4.0以上 | 冬 |
| 6.0以上 | 厳冬期 |
マットは、それ自体が温かくなる道具ではなく、地面に体温を奪われるのを防ぐ道具です。季節の境目など迷うときは、大きめのR値を選ぶと安心です。
買う前に確かめる5つの点
- 温度表示:快適温度が、行く山の夜の気温に合っているか。表示が ISO の規格によるものか。
- 重さと収納サイズ:ザックに入るか。マットはザックの外に付けるか、中に入れるか。
- 中綿:ダウンか化繊か。濡れやすい山行かどうか。
- 長さ:寝袋・マットとも、自分の身長に合う長さか。
- マットのR値:季節に合っているか。測定方法(ASTM F3340-18 など)が書かれているか。
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参考にした情報
- ISO 23537-1:2022(寝袋の要求事項・温度表示の規格)
- Australian Hiker「ISO 23537-1:2022 sleeping bag temperature rating」:快適温度・下限温度・極限温度の意味
- YAMA HACK「高い”R値”で冷気を遮断! 寒い時期におすすめの「寝袋マット」6モデル」:R値の季節ごとの目安
- BE-PAL「寒い時期のキャンプに欠かせないスリーピングマットは「R値6.0以上」で選ぼう!」:R値の測定規格 ASTM F3340-18
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